御苑の散歩者

彼岸花の季節

異常気象で台風が矢鱈に上陸している昨今だが、少しずつ秋らしい空気が漂って来た。茸も続々生えて来ていて、着実に秋が来ている事がわかる。

気がつくと、所々に長い茎が地面からすっと伸びている。その先には赤い蕾が幾つかついている。彼岸花だ。突然花が生けてあるかのように生えて来る。不思議な花だ。真っ赤な色とその佇まいがミステリアスで、まさに「彼岸」の名がふさわしい。

小さい頃、遊び仲間の誰かが「あの花に触ると毒があるから死ぬねんぞ」と言っていた事を思い出す。他愛のない戯れ言だが、あの強烈な姿にはそれを信用させる程の神秘性が備わっていた。

その花が、今年も彼岸と此岸の狭間から姿を表わした。