御苑の散歩者

横たわる龍

不思議な色合いの雲が横たわっていた。

今日はこの数日よりも早い目に散歩に出た。ハナコは大層喜んで飛びついて来た。今日は綺麗に晴れた空が広がっている。空気は澄み切っていて、清清しい。

夕方なのでオレンジの光が大文字を照らしている。まるで紅葉しているかのようだ。実際紅葉しているのかと思う程にオレンジ色をしていた。南の空を見ると、雲が横たわるように流れていた。青からオレンジへのグラデーションになっていて美しかった。これほど鮮やかな雲は見た事がないように思う。とても美しい。

その雲は、龍が横たわるかのように西から東へと太く伸びていた。もしかして、あれが高速道路にあらわれるという雲なのであろうか？見た目はとても美しいが、そんな雲だったらちょっと嫌だ。人間の公害から発生した雲を見ている事になる。少し後ろめたい。

龍のような雲は、沈んでいく夕陽の光を浴びて、刻一刻とその色を変えていく。そこには自然の摂理にそのまま従った美しさがある。何も飾らない、そのままの姿がある。どんなに悲しく汚れた場所に生まれても、自然体でいればそのまま美しい。どんなに汚れても、自然は自然。人は人。そのままで素晴らしい。飾ったり威張ったりする必要はないのだ。