2005年04月09日

春の一般公開

今日は御所の一般公開が行なわれているので立ち寄ってみた。

土曜日の午前とは言え、御所とその付近は溢れる程の観光客で埋め尽されていた。入り口では簡単な荷物検査が行なわれていた。命を賭けたテロリストには大して効果がないだろうが、愉快犯程度ならば充分な威圧になった事だろう。ここがイラクなら夥しい死人が出るに違いない。

中に入ると順路に従って歩いていく。途中と出口付近に売店があり、関連本やお土産が並べられている。順路は毎回同じようだ。御所の内部は豪華でありながらもシンプルで落ち着いた雰囲気がある。襖絵も豪華絢爛なものから禅寺にありそうな渋い味わいのものまで色々だ。

紫宸殿の南の広場では、雅楽の演奏が行なわれていた。当日の予定など何も知らずに入ったのだが、運良く聴く事が出来た。場を浄める舞いと、蛇を退治する舞いの2つが舞われた。古くに伝わり、宮廷内や神事ばかりに使われて来た芸能であるだけに、洗練されて穏やかなものだ。もしかするとこれでも当時としては激しいものだったのであろうか。

当時の貴族達の遊びは庭に花を植えて観賞会を開いたり蹴鞠をしたりというもので、現代に比べれば大人しくゆったりとしている。だが、きらびやかな衣装で他の日本文化にはない和音の重なった音楽で踊るのだから、入って来た当時にはさぞかし強いインパクトがあったであろう。

現代はその手の刺激は腐る程溢れている。TVをつければ年中騒がしい。町の中でさえ激しい音楽が流れ、ギラギラと激しい映像が流れる。きらびやかなネオンに看板、大きな音を立てて走る大量の車や列車。当時の貴族の贅沢は何だったのか。こんな時代には、逆に静かで質素なものが新鮮に写る。静けさが逆に珍しい。音や色を意図的に閉め出さないと現代では却って安らげない。筒井康隆の短編「にぎやかな未来」は最早現実となりつつある。

Posted by ガスパーチョ at 2005年04月09日 22:36 | トラックバック
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