2004年03月19日

松とスリッパ

スリッパが、石柱の上に鎮座していた。あたかも御神体のように…。

今日は雲が少なく、高い空に薄く広がる雲がゆっくりと流れていく。花の蕾が開いていったり花が散っていったりするのは、一日一日変化していくのが目に見えてわかる。

京都御苑は今日も観光客で賑わっていた。団体さんで桃の林を通り抜けているのも見た。じっくり観察する人もいれば、愛する家族と一緒に眺めている事を満喫する人もいる。カメラや携帯電話で写真を撮る人もいる。

この時ばかりは人間も、木々を心から愛する。普段はそんなに気に留められる訳ではない。そんな人間の気まぐれを気に留めるでもなく、木々は毎年同じ時期に花を咲かせ続けている。そうやって黙々と生きる彼らには、我々人類がどのように映っているのであろうか?

そんな事を考えながらしばらく行くと、柵のようなものに、なぜか黒いスリッパが片足だけ、綺麗に道路側を向いて鎮座させられていた。まるで現代美術のオブジェか、呪術師のおまじないのようであった。一体なんなんだろうか?黒いボディーに金色のアクセサリーを纏い、夕焼けの中を佇んでいる。その佇まいの面白さに、しばし眺めてしまった。それにしても、もう片方はどこへ消え、誰が忘れて行ったのだろうか?

ちなみに「柵のようなもの」とは、元々砂利道と木々の生えている所を区切った半円形の細い鉄棒による柵があったのだが、それを新たに石のものと置き換えたものである。その形はやたら短い道標か、誰かの墓のような、道祖神っぽい石柱である。鉄棒のものは錆びやすいからなのか、いつの間にか入れ替わっていたのだ。

松の木を眺めていると、どうもそれぞれ微妙に葉っぱの色が違う事に気づいた。ある若い松を見ると、葉っぱが物凄く青々としており、鮮やかな色であった。なので若い木の葉っぱは青々としているのかと思うと、そうではなく、新しく生えた枝や、葉っぱが生え代わったものが青いようだった。

そういえば、この前無くなったと思った地面の松ぼっくりが、また地面に落ちて数が増えている。松ぼっくりの落下はやはり、季節と関係があるのだろうか?いつまで経っても自分には知らない事だらけだ。

Posted by ガスパーチョ at 2004年03月19日 23:59 | トラックバック
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