2004年03月03日

恐れを誤魔化す

人間は有史以来、怖れや不安をものに頼る事で誤魔化し続けていた。しかしもう、ごまかしは効かない時代になってしまった…。

今日は曇りだった。鳥もあまり見かけず、静かな日だった。昨日散歩に行った時間あたりで、ハナコが「ワン」と一声吠えた。やはり時間にはうるさい。いや、時間に関連する記憶力が発達しているのだろうか。

犬は1日を1年ぐらいに感じているのかも知れない。人間と比べれば、する事は遥かに少なく、物事をより深く感じる時間があるのだから。犬に比べれば現代人、特に大人はする事だらけだ。ものを沢山買ったり売ったり修理したり捨てたり、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、いつも何かにつけ忙しい。それに対して犬の生活は、寝て食べて遊んで臭いを嗅ぐ、野生なら獲物を狩る、片手で数えられる程度だ。

人間は不安が多い程、ものに頼る性質があるようだ。寂しいから人形やペットを買い、失業や事故が怖いから保険に入り、食糧不足が怖いから冷蔵庫が満杯になる程詰め込み、泥棒が怖いからセキュリティー会社と契約し、外国が怖いから軍隊を作り、軍隊が怖いからハイテク兵器を作り、ハイテク兵器が怖いから核ミサイルを作る。今度は核ミサイルが怖いから国そのものを買おうとする。それで怖いだの、メンテナンスや警備が大変だの、買い換えにお金がかかるだの、俺を殴ったのはお前だろうだの、常に忙しい。人類とは実に馬鹿げた種族だ。

歴史が始まって以来、誰もこの癖を治す事が出来なかった。一部で治せても、全体に広まる事はなかった。治せないどころか、ますます悪化しているようだ。特に最近は、世界中の政治家の暴走が甚だしい。もはや、人類の集合意識が自己破滅への道を選択してしまったのだろうか?自己破滅だけならまだ良いが、今の科学技術の発展した状態では、自然界をも巻き添えにしなくてはならない。自然界や地球にとっては甚だ迷惑に違いない。下手をすれば道連れかも知れない。

それにも拘らず、自然界は我々人類を何も言わずに暖かく包み込む。京都御苑の木々も鳥達も、人間の存在を受け入れている。今日も穏やかな風が吹き、京都御苑は静かに穏やかに佇んでいる…。

Posted by ガスパーチョ at 2004年03月03日 23:32 | トラックバック
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