2004年03月10日

夜の京都御苑

夜の京都御苑にも、色々な人がいる。それぞれに、それぞれの時間を過ごしているようだ。

今日は調整がつかず、散歩の時間が夜になってしまった。夜は大した用事もないので遠回りのコースで散歩をする。

昼間とはうって変わってとても静かだ。人もあまりおらず、鳥のさえずりは勿論聞こえない。空には雲が多く出ている。月は隠れて見えないが、雲が薄明るく夜の京都御苑を照らす。田舎ではどうなのか知らないが、都会の夜の雲は明るい。多分町の電気の光を反射して明るいのだろう。電気のない所を歩くには便利だが、見た目は何となく不気味でもある。

夜の京都御苑は人が少ないが、それでも色々な人がいる。犬の散歩をする人、マラソンで体を鍛える人、食後にウォーキングしている人(うちの母もその一人)、どこかからの帰りに通過するだけの人、友達とダラダラとおしゃべりする人、邦楽や洋楽の楽器の練習をする人、恋人同士でのんびり夜空を眺める人、ホームレスの人、パトロールや警備をする皇宮警察、昼間に劣らず案外多くの人々がいる。

夜の京都御苑と言えば、学生時代に新聞配達のアルバイトをしていた時、血まみれの男が歩いているのを見た事がある。身も心もヨレヨレの男が、疲れ果てた心身を癒すようにタバコを取り出して吸っていた。男についている血液は、どうやら返り血のようだった。すぐに警察に身柄を保護されたが、目撃した自分は、その時まで時間があったにも拘らず、何故か皇宮警察等に通報しなかった。何故すぐに自分で通報しなかったのか、自分でもよくわからない。面倒に巻き込まれるのが嫌だったのかも知れない。あるいはあの男に怖れを抱いていて、復讐を恐れたのだろうか?我ながら情けない話だ。今あの男に出会っていたら、果たして通報しているだろうか?

都会では昼夜を問わず、人だけがいつも蠢き続けている。色々な感情、事情を抱えた人々が、京都御苑を通り過ぎていく。人だけが、休まず眠らないで活動し続けているかのようだ。人が動くと同じだけ、休まらない心も存在する。血まみれの男も町の中では休まれず、無意識のうちに京都御苑へと足を運んでしまったのだろう。もっと前に京都御苑を訪れていたならば、彼は人を傷つける事はなかったのだろうか?

Posted by ガスパーチョ at 2004年03月10日 23:01 | トラックバック
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