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私は現実に幻滅し、理想とあの世に興味の重心をおいて育って来た。その為現実の細々とした事柄にはなかなか興味が向かない。しかしながら現実世界に生まれて来た以上、現実世界とも歩調を合わさなければ生きては行けない。何故私は現実世界を否定するのだろうか。
現実世界はただの現象の世界だ。そこに意味を見い出すのは人間のする事。そうであるならば、現実世界に対する拒絶・否認は、現象の上に幻想を被せて見ている事に他ならない。もし現実が自分の望まない未来へと続くと感じるのならば、現状を認識し、変えていけば良い。現実を拒否する行動は、結果的に逃げる事と同義となる。
私は逃げる事を望んではいない。逃げるつもりならば最初からこの世には生まれて来なかっただろう。では私の魂の望みは何か。現状のまま世界が進む事を拒んで育ったからには、私の中にある理想を世に広めていくのが望みであるのだろう。
現状に囚われて対応に追われるあまりに近視眼的になってはいけないが、理想ばかりを有り難く奉って地に足がつかない事も問題だ。私の好きなスター・ウォーズのスカイウォーカー親子の物語は、現実主義と理想主義の調和を表現している。この世に生きる事においては、理想と現実を調和させる事が重要なのだ。結果を急がない事も。
現実を拒否するのではなく、認めて少しずつでも関わる事が重要なのだ。その点から、行動する事の重要性が解る。勿論行動以前に心を糺す事を忘れてはならないが。人生をしっかりと進めるには、理想を認識する事が重要だ。そして現実との比較をし、どのように改善・変更していくかを決めれば、おのずと人生の進め方が解るようになる。
自分の理想をまず、自分自身でしっかり認識し直す事が、理想と現実を調和させる第一歩なのだ。
認識力が高いと、仕事や勝負などにも有利に働く。相手より有利な情報を得やすくなるからだ。また自我の快楽を満たして悪事を働く為に、認識力を鍛えている者もいる。それを見破るにも認識力がものを言う。
さらに多少の個人差はあれども、徳のある人物や愛情の深い人物は、気配りが良く出来る。なぜそう出来るのだろうか。それは彼らの知覚が発達しているのではない。今を生き、現実を受け入れ、現実をしっかり認識出来ているからだ。
そういった気配りの出来る人間になるには、認識力＝現実を正確に認識する力を得るにはどうすれば良いのだろうか。
実は身につけようとする必要はない。ただ受け入れれば良いのだ。人は常に無数の情報を目にし、耳にし、触れ、嗅ぎ、味わい、感じている。それらは普段自我の働きによって振り分けられ、限定された情報のみを受け取っている。
自我が上手く働けば必要な情報はすぐさま手に入る。しかし自我が混乱したり暴走していれば、必要最低限の情報さえ入って来ない場合があり得る。自我の問題を放っておいて心の教育を家庭でも学校でも行なわない現代社会では、ひどい事故や事件が起こるのも当然の理だ。
現実を正確に認識するには、まず心を整える事。怖れや不安を収め、気持をリセットする。そうして今まで閉ざしていた心を全部開け放って、改めて現実の全てを受け止める。情報の選り好みをしない事。その上でいらない情報を受け流す。それだけの事だ。
必要な情報は向こうから勝手に流れ込んで来る。自分にインプットされた情報の中からただ選べば良い。意図的に認識しようとすると、確かに関連した情報は集まりやすい（資料を集める場合においてはそれで良い）が、意図から外れたものは集まらない。意図した角度以外の情報が入って来づらいのだ。だから何も身構えず、心を静かにして、心を開けばそれで良い。
結局の所、自我が本来の役割をスムーズに滞りなく果たせばそれで良いのだ。現代人は心を整えられないと言う点において非常に退化している。実に勿体無い事だ。
何かしようとする時、意識は目的や結果の方向へと無意識に伸びていく。一つの事に集中して頑張っているつもりが、心ここにあらず。意識ばかりが未来へと向かうので人は世界の何分の一しか認識出来ない。だからうっかり見逃したり失敗したりする。普通一般の人間が人生において何度も失敗するのも当然だ。現実を観ているようで現実を観ていないのだから。
思考や過去・未来への思いに囚われない生の心で世界を見ると、世界の素晴らしさが見えて来る。これが今に生きるという事だ。必要以上に未来・過去や思考に囚われているから余計な勘違いが起こり、苦しくなる。心の苦しみの大半は、思い込みや勘違いによる。その他は、精神に囚われ過ぎて真の世界を認識出来ずに混乱している事による。
だから一度、心をリセットして、何ものにも囚われない真っ白な心で今この瞬間の世界を認識し直してみると良い。未来や過去や妄想や悩みに囚われない時間を作りなさい。そうすれば世界や自分の本当の姿が少しずつ浮かび上がって来るだろう。この世界の真実を見直そうとしない限り、貴方はこの夢の中から醒める事が出来ない。目を醒ますには、真っ白な心で意識的に世界を見直す事だ。
今の瞬間に集中するには心を落ち着かせる為に瞑想するのが一番だが、まぶたリセットと同じく気持を切り替える方法を発見した。それが、肌の周辺の空気を感じる方法である。
何かしようとする時、意識は目的や結果の方向へと無意識に伸びていくようだ。未来の方向へ、あるいは文字通り、進もうとする方向へと意識が身体より先走る傾向があるように感じる。その為、人は自分の身体の前方何十度かの範囲しか認識出来ない。限られた範囲しか観ていないのだ。だからうっかり見逃したり失敗したりする。普通一般の人が人生において何度も失敗するのも当然だ。
これは、自分の注意を自分の周辺（前後左右を取り囲む空間）に留める事で意識を今に留めようとする試みだ。勿論遠くを見るなと言っているのではない。遠くも認識しつつ、目的地や結果などの未来に心を奪われる事なく、今この瞬間をしっかりと認識する為のものだ。その為に、今まで認識していなかった前以外の方向にも注目し、より深く現状を認識するのである。この肌周辺の空気を感じる方法で、今を本当に観て、本当に知る事ができるのだ。
これを行なう場合のイメージは、自分より前方にはみ出てしまったオーラを、自分の身体を取り巻くように引き戻す様子を考えればやりやすい。実際オーラもそのようになっているのかも知れないが、私はオーラを見られないのでよくわからない。
周辺の空気をしっかり感じられるようになれば、世界が今までとは大きく異なったかのように感じられるだろう。何もかもが存在感を増し、圧倒的に活き活きして見える。何もかもが美しさを増し、見過ごしていた発見が至る所に出現するだろう。
意識を今この瞬間に戻そう。さあ、素晴らしい世界を感じよう。
今を感じる為に気持を新たにする必要がある。そんな場合、私は「まぶたリセット」という技を使う。まばたきをする度に心がリセットされるのだ。やり方はいたって簡単。目を閉じ、次に目を開いた瞬間、自分は初めてこの世に降り立った事にする、初めてこの世を目撃した事にするというものだ。子供のごっこ遊びと同じ要領で、まばたきする毎に、「はっ！？ここはどこだ？これがこの世なのか？！」と驚いてみると雰囲気が出て楽しい。
応用技として、目のピントリセット（あまりやるとクラクラするかも）、心臓の鼓動リセットなども面白い。
貴方の人生に起こる出来事は、何一つとして避ける事が出来ない。全てはあらかじめ決まっており、全ては起こるべくして起こるのである。変えられる事はただ、貴方の態度や反応の仕方だけである。
人生の苦難とは、障害物競争で風船を割る行為と似ている。痛いからと言って、風船を割らないままでは決してゴール出来ない。しかし怪我をする程の痛みではない。人生の苦難もまた、越えられない程のものはない。
人生での出来事は絶対に避けられない。避けようがないものを避けようとするから苦しくなる。人生をより良くするには全ての可能性を覚悟する事、そして考え方を改め（視点を変え）、前向きに受け入れる事だ。それだけで良い。
この世は、やるかやらないかの二つだけである。実に単純な事である。やる前からごちゃごちゃ言っても仕方がない。結果が貴方を評価する。前もって自己評価をしたところで大した助けにはならない。自分の人生を生きるなら、畏れず遠慮せず、多少図々しいくらいで丁度良い。大抵の場合、迷惑になりそうなら相手がちゃんと言って来る。だからもっと天真爛漫に行動を楽しみなさい。生きるか、生きないか、行動するか、行動しないか、それだけが問題だ。